ひびのの主張/テキスト作品

2010/7/1 Thu

「自分が安全を感じること」と「公平で、不当な暴力や権力がないこと」とは必ずしも同じではありません

カテゴリ: - ひびの まこと

 関西では、例えば「2001年 夏だ!ストップ性暴力キャンペーン」や、「「みんな」にとって、楽しい映画祭にするために」など、「私たち」の内部・運動内部における暴力や差別の問題への取り組みが、少しずつ行われてきました。
 2008年に北海道の洞爺湖でG8サミットが行われました。このサミットに反対する行動が日本でも取り組まれましたが、この時の反G8サミットのキャンプの場(及び、それにいたる準備の過程)でも、同種の取り組みが行われたようです。


 このネットワークの人たちが「セイファースペースについての冊子」を創るということで、2年前にお話を頂いて2つほどテキストを書きました。

  • 「自分が安全を感じること」と「公平で、不当な暴力や権力がないこと」とは必ずしも同じではありません
  • どうすれば役に立つガイドラインを作れるのか

 このうち、【「自分が安全を感じること」と「公平で、不当な暴力や権力がないこと」とは必ずしも同じではありません】を、ウェブ公開します。【どうすれば役に立つガイドラインを作れるのか】は、先日ご連絡をいただき、冊子に掲載していただける事になりましたので、「セイファースペース冊子」の完成まで、しばらくお待ち下さい。



「自分が安全を感じること」と「公平で、不当な暴力や権力がないこと」とは必ずしも同じではありません

ひびの まこと(http://barairo.net/

 「社会運動の内部における暴力/権力」と言うと、何を思い浮かべますか?
 自分が他のメンバーからされた嫌なことを皆に話したら「それは気にしすぎ」「個人的なことを持ち込まないで」と取り合われなかった時に感じた感覚ですか。それとも、その場に「居させてもらう」ために、いつの間にか「その場のノリ」に合わせてしまっている自分に気付いた時ですか。「やっぱり女はなめられる」と思い知らされた時ですか。自分が暴力を振るわれている時に「面倒なことには関わりたくない」という顔を友達にされた時ですか?「この問題に関わるとヤバイ」と直感的に気が付いて、友人から相談されても聞かなかったフリをした自分がいる時ですか。
 女子の話が軽視され無視され続けてきたことの裏返しとして、今度は女子が「私が傷ついた」と言えば誰もそれに反論できないような雰囲気を創ることができた時のことですか?いつもは無視されている自分の意見が採用された時ですか?自分の嫌いなアイツが場に来なくなった時ですか?
 自分がクレームを言ってもあっさり無視されたのに、「有力者」やその友人が同じ事を言ったら、急にみんなが「そうだ、そうだ」と言い始めた時ですか。
 「この問題」について扱うのが難しく、そして面白いのは、「この問題」が、「私たちが今いるこの場所」の権力(ヘゲモニー)の配置の問題に直接関わるから―言い換えると「この場が誰の場所か(誰にとっての安全か)」という問題だからです。その場で何が暗黙の了解とされているか、を暴いてしまうからです。それは、「ワタシ」と「あなた」とが、どういう力関係の元で人間関係を持つのか、という話にもなります。そして更に、その「場」が誰の労力と支払いによって成立しているのか、という問題にも、直接繋がります。
 はっきり言うと、その場の多数派にとってメリットのある告発は、聞き入れられます。その場を創ることに労力を払っている人や、居なくなっては困るような人からのクレームも、もちろん聞き入れやすい。だって、その人たちが居ないとみんなが場からメリットを受け取れないから。
 しかし、その場の多くの人にとって面倒な告発は、忌避されがち。何よりその場の中心メンバーに対する批判は、言いにくいし、他のメンバーに言っても聞き流されやすい。それは何故なのか?「その中心メンバーに権力があるから」と答えるのは簡単だ。しかし実際に問題を表面化させてみた時に気が付くことは「その権力を支えているのは自分自身だ」ということ。自分とその中心メンバーとは確かに権力において対等ではない。しかし同時に、場を維持するために引き受けているコストとリスクも、対等でない場合が多い。だからこそ批判の声を上げると「では誰が場を維持するのか」と言われるし、誰もそのコストを引き受けたくないからこそ中心メンバーへの批判は聞き流される。

 よりましな場を創るために、「ガイドラインを作る」ということも、私も何度かしてきました(*注)。しかしそれも結局、その場にいる多数派の利害に反しない方向で告発がされている時には有効に機能する(当たり前です)のですが、その場の多数派や場の有力者の利害に反する告発があった場合は、結構簡単に忘れ去られます。
 そうなることがほとんどだからこそ、結局多くの場合は、自分がその場での多数派の側になることによって、もしくはその場の有力者と個人的に親しくなることで、自分の身を守ろうとしがち。しかしそれでは、自分は安全でも、ハラスメントが起きる仕組みは何一つ変わっていません。

 あなたは、いま誰かに対して「この人の話をちゃんと取り合う必要はない」というような態度をとっていませんか?特に、場のみんなが「その人の話は聞く必要がない」という雰囲気になっている時が、一番要注意です。自分とは意見が正反対の人に対して、自分の意見を直接伝え、話し合おうとしていますか?自分を弱者に相手を強者に一方的に仕立て上げ、それを口実にして話し合いを拒否したり、誰かを排除したりしていませんか?
 実際には、自分がどこかに居心地良くいることが出来たり、安全だと感じていたり、自分が面倒だと思う話に付き合わないで済んでいたら、おそらくあなたはその場の「鈍感なマジョリティー」の側、無自覚にハラスメントをする側にいる可能性が高いです。
 「自分が安全を感じることが出来ること」と、「その場が皆に公平で、不当な暴力や権力がないこと」とは必ずしも同じではありません。前者を追求するのであれば、自分以外の人がその場でハラスメントや暴力を受けうる構造自体は温存されてしまいかねません。後者を求めるのであれば、私たちは、「みんなにとって、より安全な場所」を創るために、一生コストを支払い続けないといけません。「みんなの場」を維持するためのコストも「みんな」で負担する必要があります。それはおそらく「世間の中でただフツウに暮らすこと」よりは大変なことでしょう。
 どちらを選ぶかは、あなた次第です。

 
 
(*注)ガイドラインの例
・ストップ性暴力キャンペーン
http://barairo.net/special/sexual-violence/2003-5/

・「みんな」にとって、楽しい映画祭にするために
http://kansai-qff.org/public_comment/minna/

 
 
【参考資料】
●プロジェクトPが主催したカフェパーティー「へなへないと」において、1998年に性的な暴力があったことについて
http://projectQ.info/modules/henahena/1998.php

●「セックスワークの非犯罪化を要求するグループ UNIDOS」の構成員であったブブさんを、京都★ヘンナニジイロ祭のゲストとして迎えることについて
http://barairo.net/works/?p=61

●たとえそこがどこであっても
http://barairo.net/works/?p=30

2008/6/22 Sun

「トランスジェンダーは私たちの仲間です」

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 先日の「第1回京都トランスジェンダー映画祭」で「男子であること」という映画の上映の後、遠藤まめたさんとのトークをやりました。その時のやりとりの映像をakaboshiさんが自分のブログ(YouTubeも)に載せてくれています。

トランスって?01●京都トランスジェンダー映画祭01●
「わからないこと」「揺らぐこと」を面白がりながら繋がろう。

(akaboshiさん)

 せっかくなので、その時のお話しの補足です。
 映画「男子であること」の冒頭のシーンで、「トランスジェンダーは私たちの仲間です」ということを、ラテン系のレズビアンの人が強く宣言するシーンがあります。以下の予告編にも収められています。


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2007/11/20 Tue

関西レインボーパレード2007

 先月10月の28日(日)に、第2回関西レインボーパレード(公式略称は「関パレ」です)が開催され、1326人が参加しました。パレード当日の映像があります。(ちなみに、忘れ物もあります)
 今年は、私も始めから実行委員会に参加しています。

いろんな意見の人が集まって創ったパレード

 今年のパレードは、昨年度と違い、実行委員会の立ち上げ時から、誰でも対等に参加できる形でスタートしました。その観点から、閉鎖的に立ち上げられた昨年度よりも良い創られ方をしている、と思います。
 ただ残念ながら、映画祭の準備などで忙しくて実行委員会の話し合いに私自身が十分に参加できなかった時期がありました。そのため、他の実行委員のひととちゃんと意見交換する時間が取れず、実行委員会としての決定事項には私自身には同意できないものもあります。ただこれは、私自身がちゃんと関わりきれなかった時期があったため、そういう時に「決定」が実行委員会で行われてしまったという面があるので、その後の実行委員会の会議の場とML上で一度明確に私の意見を述べただけで、それ以上しつこく問題提起することはしていません。 (more…)

現にここにある矛盾を顕在化させ イスラエルを自分の位置から批判するために

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インパクション表紙

 ずいぶんと昔になりますが、インパクション誌132号(特集「暴力と非暴力の間─複数の場からの9・11以降」2002年発行)に寄稿した文章です。サイトに未掲載でした。

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2007/8/31 Fri

LGBTと企業(その1)

 「LGBTと企業」というタイトルで何か書けといわれたら、もしくは企業に対して「LGBTの立場から」何か書けといわれたら、あなたは何を書く? (more…)

2007/3/7 Wed

「レズビアン&ゲイ」という看板は、いついかなる時でも許されないの?

 「東京レズビアン&ゲイ・パレード」が「東京プライドパレード」に名称を変えました。このことについて私が「これで、少なくとも日本国内で、『レズビアン&ゲイ』の看板で開催されるパレードは1つも無くなりました。とてもよいことです」と書いたところ、佐藤博さんから鋭いツッコミを頂きました。日本には他にも「レズビアン&ゲイ」を看板にしたグループがあるけど、それはどうなんだ、というご指摘でした。
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2007/2/10 Sat

クィア仲間と、野宿者排除について一問一答

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 あるクイア系の人たちの中で、長居公園の野宿者の強制排除問題について話し始めた時の私の状況をみて、私の大切な友人が後からこう評しました。
「アレが起きている」
 そう、アレです。
 私たちがいつも、セクシュアリティーの話をしようとして、人々とのあいだに起きるアレです。 (more…)

2007/2/8 Thu

永易至文さんの発言は、精神障害者を差別するものだと思います

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 東京プライドが、実行委員の応募にあたってボランティアなりの経験があることを求めることに関連した永易至文さんの意見が、東京プライドの現職の理事としていかに無責任で厚顔無恥かは、既に書きました。今回は、永易さんシリーズの第2弾です。

 永易至文さんは、パレードなどのコミュニティー活動が「ごたごたする」理由として、「メンタル的に不安を抱えたり、あるいはメンタル的に傷つきやすい人が集まる傾向がある」「ある種、自分のなかの不全感や欠損感を抱えた人が、それを埋め合わせるものを調達しようとして集まってくる傾向」を挙げています。
 そして当然ながら、あまりに安易にこういう言い方をする永易さんは「精神障害者を差別するものだ」と批判を受けています。

 コミュニティー活動に、メンタル的に不安を抱えた人(など)が集まってくる傾向があることは、私は事実だと思います。しかし永易さんの最大の問題点は、永易さんご自身も「メンタル的に不安を抱えたり、あるいはメンタル的に傷つきやすい人」であり、永易さんご自身が「ある種、自分のなかの不全感や欠損感を抱え」ていて、「それを埋め合わせるものを調達しようとして集まってくる傾向」を体現している可能性に、真摯に向きあっていない(少なくとも私にはそう感じられます)という点だと思います。 (more…)

2007/2/5 Mon

長居公園強制排除問題-33名の賛同人名を大阪市長宛にファックスしました

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 長居公園の野宿者とテント村を大阪市が強制排除しようとしています。そのことに反対する大阪市長宛の要請書の賛同人を、このサイトで募っていました。締切の2月4日24時までに計33名の方の賛同表明がありました。
 先ほど、大阪市市長室秘書課に宛てて、ファックスしました。
 もともとの要請書に、以下の賛同人名と追加コメントを付ける形で、ファックスしました。ご報告します。

 残念ながら、本日、大阪市による強制排除(代執行)が予定されています。詳しくは、釜パト活動日誌などで、報告されると思います。
 「大切なのは5日以降に私が何をするか、だと思っています」とわたし宛にメールで書いていただいた方がおられます。私も、そう思います。
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2007/1/31 Wed

長居公園強制排除問題-要請書を送りました→ 引き続き賛同者を募集中です!→締切りました

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 長居公園の野宿者やテント村の強制排除(強制代執行)に反対する要請書を、1月29日に大阪市長宛に郵便で送付し、同時に市長室秘書課宛にFAXしました。
 もともとは私一人で出そうかと思っていた要請書なんですが、せっかくなので一緒に出す人はいないかなと思ってこのサイト他で少しだけ呼びかけをさせてもらいました。人数を集めることにはあまりこだわらなかったのと、「急いで出さなきゃ」と少し焦ってしまったため、私のサイトに載せてから24時間もない中で連名を締め切ってしまったのですが、結局9名の連名で出すことができました。
 今日の報道によると、残念ながら強制代執行の予定日が2月5日(月)に決まったようです。締切後に要請書に賛成の意志を示してくれた方もおられますので、せっかくなので、引き続き2月4日(日)の24時まで、要請書に賛同される方を募集します(締切りました)。お名前を出しても構わないという方は、是非メールフォームでご連絡下さい。
 なお、こういった意見はいろんな立場の人が自分の立ち位置から直接訴えて行く方が、一つの声明に人数をまとめるよりもいい場合もあります。ご自身で要請などをされる方は、以下の宛先にされるといいと思います。 (more…)

2007/1/28 Sun

長居公園の強制排除に反対する要請書ー連名募集中!(いったん締切)

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 長居公園の野宿者の強制排除が危惧されています。この件につき、大阪市長宛に要請書を送ろうと思います。
 以下に、私の文例を示します。もしこの内容に共感される方がおられましたら、よければ連名で出しましょう。
(締切は今夜!1/28(日)24時) (more…)

2007/1/25 Thu

自彊館闘争〜野宿者とセクシュアルマイノリティー

 先日長居公園に行ったのは、実はもう一つ目的がありました。行けば、自彊館闘争のKさんに会えるのではないかということ。実際、「プチ大輪まつり」でKさんにお会いし、少しお話しすることができました。
 自彊館闘争というのは詳しくは「ユニオンぼちぼち」のサイトからチラシをダウンロードしてもらうといいんですが、「性同一性障害に対するセクハラへの謝罪と雇い止め撤回を求める裁判闘争」のことです。(PDFではなくテキストで見たい人はこちら(more…)

2007/1/23 Tue

そういえばサパティスタも「支援してくれ」とは言っていなかったかも(長居公園の話)

カテゴリ: - ひびの まこと

 1月21日は、展覧会を観たあと、長居公園へ。
 長居公園では現在テント生活をしている人がいて、テント村ができているんですが、大阪市によるテント村の強制排除(強制代執行)が危惧されていて、1/21に急遽小さなお祭り(プチ大輪まつり)が開かれていました。

 大阪市といえば、関西レインボーパレード大阪市長がメッセージを寄せたり、「男性同士が2人で宿泊するのを断ったのは、旅館業法に違反する」として改善命令を出したり同性愛者らの「結婚」市長が祝福など、なかなかいいことするじゃんと思っておられる方もおられるかもしれません。確かにそういう点ではそれなりに評価できるんですが、しかし野宿者のテント村の強制排除はいただけないです。ちゃんと抗議をしていきたい、と思いました。 (more…)

2007/1/22 Mon

「日本人で健全者の同性愛者のパレード」

 昨日1月21日は、いろんな人といろんなお話をした1日だったので、ちょっと報告。
 関西クィア映画祭関係の用事でドーンセンターに。用事を済まし、地下でやっている写真展「コミカル&シニカル 韓国と日本の現代写真:二人の女性のディレクターから見た一側面」に行こうとすると、偶然にO.G.C.(大阪ゲイコミュニティー)の会報発送作業に遭遇。暫しパレード談義など。非攻撃的な形で、率直に意見交換できたことがよかったです。
 パレードの名前については、多くの人に感心がありそうなことなので、少し付け足して、詳しく書き直しておきます。 (more…)

2007/1/4 Thu

問題は、TOKYO Prideによる恣意的な選別の可能性と、永易至文さんの無責任

 東京レズビアン&ゲイ・パレードの、来期の実行委員をTOKYO Pride/東京プライドが募集するにあたり、「(これまでに)ボランティアスタッフあるいは実行委員としての参加経験が1回以上あること」を条件にしていました。攝津正さんがこれに疑問を呈したところ、現在TOKYO Prideの理事でもあり、東京レズビアン&ゲイ・パレードに責任もある永易至文さんがコメントを書き込みました
 しかし内容的には、部分的には正しい認識を含んでいるものの、結局は自分の特権を開き直るもので、「昔からの左派運動」によくありがちな、「運動内の二重規範」を実践する自己中心的なものの考え方となっています。 (more…)

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